収入の壁

収入の壁が引き上げられるとか廃止になる、という話題が毎日のようにあがっています。
そもそもこの「壁」とはどういうものなのでしょうか。

103万円の壁の103万とは、「所得税が」増える年収額のことです。
自分の稼いだ給与収入金額のうち103万円(基礎控除額+給与所得控除額)を
超える部分に対して所得税が課税され始めます。
例えば1年で105万円稼いだ場合は超えた2万円に対して課税されます。
また、アルバイト・パートなど家族の扶養に入っている人は、年収103万円を超えると
「所得税の」扶養を外れ、扶養者の控除額が減ってしまう境目でもあります。
これらの観点から「超えると本人及び扶養者の手取りが減ってしまう」境目の金額ということで
「壁」と表現されています。

およそ30年もの間、この103万円という数字は変わらずに来ました。
時代が変わり、物価にも変化がある中で、この壁だけが変わらないのはおかしいという意見が
あり、これを178万円程度まで引き上げるべきではないかという議論がされているわけです。

一方所得税の壁と混同されがちなのが106万円、130万円といった「社会保険の」壁です。
こちらは勤務先の条件(従業員人数等)により、金額を超えた場合に親や配偶者などの
「社会保険の」扶養から外れ、自分の勤務先で社会保険に加入するようになり、
同じく手取りが減ってしまう境目の金額です。こちらは超えた部分ではなく、
収入そのものの金額に対して保険料が算定されます。
また、手取りは減るが将来の年金は増えるという部分からも、
所得税の壁とは考えを分ける必要があるでしょう。

アルバイト・パートで働いている人にとっては、働き方を見なおすきっかけでもある制度変更です。
予想していなかったお金を支払うことになって困らないためにも、制度の動きに注目が必要です。

2024.12.25

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