作成者別アーカイブ: ナルホドネ

厚生年金保険・健康保険の適用拡大

平成28年10月より、短時間労働者に対する社会保険の適用が拡大されます。

対象となる企業で新たな要件に該当するパートタイマーの方などは、

10月より厚生年金保険と健康保険に新たに加入することになります。

 

平成28年9月までの加入対象

・一般的に週の労働時間が30時間以上

(1日又は1週間の労働時間が正社員の概ね4分の3以上かつ1ヶ月の労働日数が正社員の概ね4分の以上)

・雇用期間が2ヶ月を超える、または2カ月を超える見込みがあること

 

平成28年10月からの新たな加入対象

①週の所定労働時間が20時間以上

②月額賃金が8.8万円以上(年収106万円以上)

③雇用期間が継続して1年以上見込まれること

④従業員が501名以上いる企業(特定適用事業所)に勤めている

⑤学生ではない

 

この5つの基準すべてを満たす場合、社会保険に加入しなければなりません。

なお、上記②の月額賃金について、通勤手当、残業代、賞与、臨時手当は含まれません。

特定適用事業所とは、直近1年のうち6ヶ月以上、社会保険に加入している従業員の

合計が500名を超えることが見込まれる企業の事です。

派遣社員の場合、働いている会社が501名以上でも派遣元の会社が500名以下で

あれば対象外となります。

 

適用対象となる企業の範囲拡大については、現在のところ未定ですが、

政府は「平成31年9月30日までに検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずる」としている

ことから、平成31年10月以降、中小企業も適用拡大の対象となる可能性があります。

青色申告取消について

青色申告が取り消された場合の一番のデメリットは、

取り消された事業年度の赤字(欠損金)の繰越ができなくなることです。

 

第2期が赤字だったら、もし3期目が黒字になったとしても、2期目の赤字とは

相殺して申告することができないので、税金が増えてしまうケースも出てきます。

 

なお、上記の場合は第1期目は、青色申告が認められます。

 

また注意しないといけないのは、年度をさかのぼって青色申告が

取り消されるケースもあるということです。

税務調査は、通常3年、5年とさかのぼって行われます。

例えば、3年前の申告分に所得もれなどが発見され、その年度の青色申告が取り消されることがあります

その場合、その年度だけでは済みません。それ以降の申告もすべて

白色申告として扱われることになります。

 

・法人税法と所得税法

所得税法とは違い、法人税法は、一定の事由が存する場合、税務署長に青色申告の

承認を取消す権限を付与しています。その一定の事由の一つとして、

確定申告書をその提出期限までに提出しなかったことを挙げています。

「1回でも期限内提出を怠ったら、直ちに青色承認取消し可」との内容ですが、

実際は2事業年度連続して期限内に申告書の提出がない場合に行うものとの取扱いをしています。

 

では、所得税でも同じか?

2回連続して期限後申告としてしまった場合、所得税においても法人税と同じく

青色申告承認の取消しを受けてしまうのでしょうか。

所得税法では、法人税法と異なり確定申告書の期限内提出がなかったことを理由とする

青色承認取消しは認めていません。

従って期限後提出を何回しても、それを理由とする青色申告承認の取消しを受けることはありません。

 

なぜ所得税は法人税と違うのか?

所得税の場合は法人税と異なり、確定申告期限を任意に選択できません。

この違いが青色承認取消しの取扱いの相違の最大の理由と思われます。

税理士など、還付申告となるケースの多い納税者が繁忙期を避けて期限後に申告する場合など、

国に対する協力とさえいえることなので、そんな場合に青色申告の取消しを敢えてすることは

不合理なことです。

 

法人税と所得税のどちらの基準が合理的か?

青色承認を受けていても、期限後申告の場合は、青色申告での特典の多くを享受できません。

従って、期限後申告に対して青色承認の取消しと言うペナルティーを課すことに

合理的理由を見出せません。

青色申告制度が、一定の帳簿書類を備え付け、信頼性のある記帳をすることにより、

所得及び税額の計算根拠を検証可能とした納税者に対し一定の手続上の保障や所得計算上の

特典を与えるものです。

ですのでこの信頼を裏切る場合にのみ承認取消しをすればよいと考えます。

 

以上、青色申告が取り消されると、上記のようなデメリットが発生しますので、メリットはありません。

とにかく期限内に確定申告をしましょう!

青色申告と白色申告について

青色申告と白色申告とは確定申告の方法の種類です。

・青色申告
原則として毎日取引を帳簿へ記録し、それに基づいて所得を申告する制度です。
法人も個人も、事前に所轄の税務署へ申請書を提出しなくてはなりません。

※法人で新規開業の方は開始から2か月以内が提出期限です。
※個人事業主で新規開業の方は
1月1日~1月15日までに開業した場合 → その年の3月15日までが提出期限です。
1月16日以降に開業した場合 → 開業日から2ヶ月以内が提出期限です。

・白色申告
青色申告を行っていない人が使用する申告制度です。

2014年から白色申告も記帳が義務化されました。
申請の必要はなく、青色の申請をしなければ自動的に白色になります。

確定申告では、税制上いろいろな特典がある青色申告の方がお得です。
しかし、青色申告者であってもそれにふさわしくない場合については、
その取り消しが行われることになります。

青色申告が取り消される代表的なケースは

①帳簿書類を提示しないとき
税務調査時、税務職員から帳簿書類の提示を要求されても応じない場合、
取り消しの対象となります。

②財務省令の内容や税務署長の指示に従わないとき
帳簿書類の備付け、記録・保存が、財務省令で規定された内容に則っていない場合、
取り消しの対象となります。

③所得金額・欠損金額を隠ぺい・仮装したとき
期限後申告で、隠ぺい・仮装による「不正所得金額」が50%を超える場合、
青色申告の承認が取り消されます。

④推計によらなければ所得金額を算出できないとき
帳簿書類への記載に不備があるため、推計によらなければ適正な所得金額の
計算ができないと認められる場合、青色申告の承認が取り消されます。

⑤2期連続で申告書を提出しなかったとき
無申告や期限後申告など、2事業年度連続で期限内に申告書を提出しなかった場合、
青色申告の承認が取り消されます。

などがあります。

次回は、青色申告が取り消されるとどういったデメリットがあるのかを
述べていきたいと思います。

納期の特例とは!?

7月に入り、暑い日が多くなってきましたね。
夏は目前!ですが、その前に、7月は源泉所得税の納付期限月となっています。

源泉所得税は、基本的には毎月納付するものですが、
「納期の特例」を受けている方は、7月10日が納付期限です。
今年は10日が休日なので11日になります。

今回は、源泉所得税の納期の特例について、おさらいしたいと思います。

従業員の給与や、税理士などへ報酬を支払う場合、会社や個人事業主が国に代わって所得税を徴収します。
本来であれば、徴収したものを毎月国に納めるのですが、「納期の特例」の申請をすることによって、
毎月から年2回の納付に変更することができます。

納付期限は、
1月~6月に発生した所得税→7月10日までに納付
7月~12月に発生した所得税→翌年1月20日までに納付(20日に注意です)

となります。

特例を受けることができるのは、従業員が常時10人未満の事業所です。
申請書の提出期限は特に定められていません。

「納期の特例」の制度には、いくつか注意点があるのでご紹介します。

①特例を受けられるのは、源泉所得税すべてではありません。

対象となるのは
・給与、退職金の所得税
・弁護士、税理士等の士業に支払う報酬の所得税
です。

それ以外の源泉所得税(フリーランスのデザイナーへの外注費など)は対象外のため、通常通り翌月10日に納付する必要があります。

③適用される月に注意が必要です
申請をした翌月に支払う給与・報酬等から適用となります。
いつから適用されるかを必ず確認しておきましょう。

②未払いにはペナルティがあります
納付期限をすぎてしまったり、未納付のままだと「延滞税」や「不納付加算税」がかかってきます。
半年に一度のことなので忘れがちですが、罰金を払うことの無いよう注意しましょう。

 

この時期になると、半年分の集計作業に追われてしまいますが、
毎月会計ソフトへ記帳したり、エクセルにつけておくことで素早く集計することができます。
会計ソフトでは「預り金」の科目に「給与」や「報酬」の補助科目をつければ一目で合計金額が分かります!
源泉所得税には意外と注意点が多くありますので、不安なことがあればぜひご相談ください!

お読み頂き、ありがとうございました!

28年度税制改正についておさらいしましょう!

新年度になり、もうすぐ2ヶ月がたちます。
近年では5月病ならぬ、6月病になってしまう方が増えているそうです。
梅雨の時期になりますが、気持ちはカラッとがんばりましょう!

さて、平成28年度4月、税制改正がありましたね。
今回は、法人税に関するものについて、おさらいしていきたいと思います。

①法人税率の引き下げ
法人税率が23.4%に引き下げられました。
平成30年度には23.2%に引き下げられ、実効税率は20%台となります(27年度は32.11%)

②租税特別措置の見直し
平成26年度に新設された「生産性向上設備投資促進税制」が、今年度から縮減・29年度に廃止となります。

・これまで
生産性の向上につながる設備投資について、即時償却or5%税額控除

・28年度
機械装置など:50%償却 or 4%税額控除
建物・構築物:25%償却 or 2%税額控除

・29年度
廃止

③減価償却の見直し
建物附属設備・構築物の償却方法が、定額法に一本化されました。

④繰越欠損金控除の見直し
法人実効税率20%台への引き下げの財源として、繰越欠損金の利用制限の見直しがされました。

・大法人(資本金1億超) 
60%
・中小法人等
なし

⑤企業版ふるさと納税の新設
地方公共団体が行う認定の地方創生事業への寄附金額の一部を、税額控除する制度が導入されました。

・法人事業税:寄附金額×10%
・法人住民税:寄附金額×20%
・法人税:法人住民税で控除しきれなかった額と寄附金額×10%のどちらか少ない金額を控除

事業所のある場所の団体へ対する寄附は対象外です。
さらに東京圏・近畿中心部・中部圏中心部の団体は対象外となるので注意が必要です。

これらの改正はすべて平成28年度4月1日以後始まる事業年度について適用されます。
法人税の他にも、消費税や個人所得税に関する改正点もありますので
財務省のホームページなどもぜひチェックしてみてくださいね。

お読み頂き、ありがとうございました!

預金利息の源泉徴収について

既にご存じの方も多いかと思いますが、
今回は預金利息の源泉徴収について書いていこうと思います。

なぜ今さら預金利息の源泉徴収なのかと言いますと、
平成28年度から法人の地方税(利子割)が廃止されました。

どう変わったかと言いますと、
平成28年1月1日から国税(所得税・復興所得税)15.315%のみとなりました。
手取額から84.685%で割り戻して、受取利息を計算してください。

(例)預金利息の手取額が100円の場合
【計算方法】
100÷84.685%=118円  ・・・ 受取利息
118円×15.315%=18円 ・・・ 国税(所得税・復興所得税)
廃止のため無し     ・・・ 地方税

【仕訳例】
普通預金  100 / 受取利息 118
法人税等   18 / 

ちなみに地方税廃止前は、下記の通りでした。
平成27年12月31日までは国税15.315%+地方税5%の合計20.315%が源泉徴収されていました。
手取額から79.685%で割り戻して、受取利息を計算されていたと思います。

(例)預金利息の手取額が100円の場合
【計算方法】
100÷79.685%=125円  ・・・ 受取利息
125円×15.315%=19円 ・・・ 所得税・復興所得税
125円×5%=6円     ・・・ 地方税

【仕訳例】
普通預金  100 / 受取利息 125
法人税等   19 / 
法人税等   6 /

ちなみにですが、地方税の廃止は「法人」の地方税(利子割)です。
「個人」の方の地方税(利子割)は廃止されていませんのでご注意ください。

通常は年2回しか利息の計算をする機会がありませんが、
口座によっては、毎月利息がある場合もありますので、
手取額から受取利息を計算する際の「84.685%」は、覚えて損はないかと思います!!

お読みいただきまして、ありがとうございました。

 

利子税ってなんだろな

過去の記事で2回にわたって「附帯税」について触れました。
2015.4.1 延滞税ってなんだろな
2015.7.1 加算税ってなんだろな

おさらい「附帯税」
本税以外の過少申告加算税や無申告加算税、不納付加算税、延滞税や利子税、重加算税は
「附帯税」と総称されています。それぞれの税種によって算出方法は異なります。
大きく「加算税」「延滞税」「利子税」の3つのカテゴリーに分けられます。

大きく分けた3つのカテゴリーの最後、「利子税」について記載します。

◇利子税とは
公認会計士による監査や、資金繰りがつかないなど何らかの事情で納付期限までに税金を
納付する目途が立たず、税務署に申告・支払の延期の適用を受けた場合(※)に課税されます。
延滞税と同様、利息が発生します。

(※)納付する税金により条件が違います。
・所得税及び復興特別所得税の確定申告分延納
 →納付期限(今年の場合、平成28年3月15日まで)に納付するべき税額の2分の1以上を納付すれば
 残りの納付を5月末(今年の場合平成28年5月31日)まで延長できる
⇒延納期間中は年1.8%の割合で利子税がかかります。

・贈与税の延納
 →納付期限までに申請書及び担保提供関係書類を提出する等、一定の条件を満たす場合には
 5年以内の年賦による延納をすることができる
⇒延納期間中は年6.6%の割合で利子税がかかります。
 但し、各年の延納特例基準割合が7.3%に満たない場合には、以下の割合になります。
 6.6%×延納特例基準割合÷7.3%
☆延納特例基準割合:延納する年の前々年の10月から前年の9月までの
銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として
前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合をいいます。

○確定申告や納税に遅れた場合は、この附帯税のようにペナルティが発生します。
納付期限までに正しい金額で申告・納付を行いましょう!
もし期限に遅れてしまった場合は速やかに対応しましょう。

参照:国税庁
延滞税について
https://www.nta.go.jp/taxanswer/osirase/9205.htm 

Q&A:Q34
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/qa/10.htm 

 

余剰電力を売却した収入について

太陽光発電設備を自宅に設置し余剰電力の売却した場合の収入については、

それを事業として行っている場合や、

他に事業所得がありその付随業務として行っているような場合には

事業所得に該当すると考えられますが、給与所得者が太陽光発電設備を

家事用資産として使用し、その余剰電力を売却しているような場合には、雑所得に該当します。

 

一般に「機械及び装置」に分類され、耐用年数は17年となります。

必要経費に算入する減価償却費の額は、発電量のうちに売却した電力量の占める割合を

業務用割合として計算した金額。

 

■所得税

売電所得が年間20万円を超えると課税対象になりますが、発電で得た金額では無く、

収入から必要経費を引いた所得に対して課税されます。

*4KW(約25平米)のシステムであればほとんどの場合課税対象にはならないようです。

下記で例をあげてみました。

 

■固定資産税

10kW以上の設備全般及び年評価額が150万円以上の場合が対象。

10kW以下は対象外。

 

■消費税

税抜売電収入が年間で1,000万円以上の場合。

 

■住民税

申告が必要です。所得の10%

例)

太陽光発電設備の導入費用が5kWのシステム2,300,000円、発電量が5,000kWh/年

売電収入165,000円、電気の3割を自家用で使用。設備費用7割を経費計上。

1年あたりの償却率は1/17(0.058)

 

【経費計算】

2,300,000 × 0.058 × 0.7 = 93,380円

 

【所得計算】

165,000-93,380=71,620
一般的に家庭用太陽光発電設備は10kW未満なので、ほとんどの場合は所得税が発生しません。

太陽光発電には環境対策や災害時の電力確保のメリットがあるので、

ご検討なさってみてはいかがでしょうか?

人事業主が節税するポイント

個人事業主が事業を行っていると確定申告を行いますが、その時に節税したいな!と思うことが

あると思いますが、簡単で効果のある節税をご紹介します。

 

個人事業主の税金とは、所得税、個人住民税、個人事業税、消費税、印紙税です。

この中で一番重要なのは所得税です。そこで、所得税の節税についてご紹介します。

 

*白色申告から青色申告で節税

白色申告から青色申告に変更するだけで、課税所得から最大10万円の控除がうけられます。

さらに、複式簿記での記帳で確定申告時に貸借対照表と損益計算書を税務署に提出すれば、

最大65万円の控除が受けられます。

 

*家族を専従者として雇う

専従者(青色事業専従者)を雇うことができ、その給与を経費にすることができます。

事前に税務署へ提出した届出書の金額の範囲内で専従者の労務の適正な金額であれば、必要経費

に算入できます。

 

*純損失の繰越控除と繰戻控除を適用して節税

個人事業主で青色申告している場合、「純損失」(利益が赤字)を確定申告することにより、

翌年以降の3年間に出る黒字金額から差し引くことができます。

 

*引当金を計上して節税

まだ未回収の売掛金で、貸倒になりそうな金額について、当期決算でその貸倒引当金を費用計上

できるため、貸倒引当金を設定した最初の年度は、事業所得の金額を少なく申告することができます。

 

 

この機会に青色申告へ変更しましょう。

変更方法は、「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出します。

青色申告承認申請書は、青色申告をしようとする年の3月15日までに提出する必要があります。

また、その年の1月16日以降に新規開業をした人は、開業日から2ヶ月以内に申請書を提出する

必要があります。

ダウンロード販売を巡る消費税の課税問題について

平成27年10月から、日本のエンドユーザーが海外のサーバーからダウンロードする電子書籍・電子新聞・音楽・映像などの電子コンテンツにも日本の消費税がかかるようになったのをご存知でしょうか。逆に、国内の事業者が海外のエンドユーザーなどに提供していた電子コンテンツは課税対象外(不課税取引)となります。平成27年10月からは、電子書籍・音楽・広告の配信などの電気通信回線(インターネット等)を介して行われる役務の提供を「電気通信利用役務の提供」と位置付け、その役務の提供が消費税の課税対象となる国内取引に該当するか否かの判定基準が、「役務の提供を行う者の事務所等の所在地」から「役務の提供を受ける者の住所地等」に見直されたのです。したがいまして、電気通信利用役務の提供について、当該役務の提供を行う者及び当該役務の提供を受ける者に応じた改正前及び改正後の課税関係は、次のとおりとなります。

 

国税庁 「消費税法改正のお知らせ」

 

リバースチャージ方式について

本来消費税というのは、事業者が商品を売ったときに「預かった消費税額」から商品を仕入れたときに「支払った消費税額」を差し引いた金額を納付します。わかりやすくいうと「売った側」が消費税を払わなければなりません。リバースチャージ方式の「リバース」を和訳すると、「反対の」という意味です。つまりリバースチャージ方式とは、「売った側」ではなく「商品を仕入れた側(支払った側)」が消費税を国に納付することです。今までは、日本国内からか外国からかの違いによって、最終的に消費税を支払わなければいけないという違いが生じていました。外国にある国外事業者から日本の法律において定められている消費税を徴収することはかなり大変です。そこで、リバースチャージ方式が採用されました。電気通信回線(インターネット等)を介して行われる役務の提供(サービスの提供)については「事業者向け」の電気通信サービスの提供とそれ以外のものとに区分されることとされました。

国税局HP

                                      出典・・・国税庁 「消費税法改正のお知らせ」

 

ただし、事業者が「事業者向け」の電気通信サービスの提供を受けた場合であっても次の①又は②該当する課税期間については、当分の間、「事業者向け」の電気通信サービスの提供はなかったものとされますのでリバースチャージ方式による申告を行う必要はありません。

①一般課税で、かつ、課税売上割合が95%以上の課税期間

②簡易課税制度が適用される課税期間

 

消費者向けの電気通信サービスについて

では、「事業者向け」ではなく、「消費者向け」の電気通信サービスの提供についてはどうでしょうか。先に結論を言うと一般的な事業者の方には、当分の間は、リバースチャージ方式の導入による影響は少ないと思います。外国にある国外事業者から「消費者向け」の電気通信サービスの提供を受けた場合には当分の間、仕入税額控除の適用は認められず制限されてしまいます。ただし、「登録国外事業者」から受けた「消費者向け」の電気通信のサービスの提供については仕入税額控除の適用が認められます。「登録国外事業者」とは、「消費者向け」の電気通信サービスの提供を行う課税事業者である国外事業者で、国税庁長官の登録を受けた事業者をいいます。国外事業者から受けた「消費者向け」の電気通信サービスの提供については「登録国外事業者」から受けたもののみが「支払った消費税額」として「預かった消費税額」から差し引くことができます。