狭義の社会保険料について
2018.07.18
■科目名:法定福利費(社会保険料)
会社が負担する、法律で定められている福利厚生に関する保険料のこと。
■法定福利費(社会保険料)の具体例
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分類 |
科目 |
会社負担分 |
(広義の) 社会保険料 |
(狭義の) 社会保険料 |
健康保険料 (介護保険料を含む) |
半額会社負担 |
厚生年金保険料 |
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児童手当拠出金 |
全額会社負担 |
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労働保険料 |
労働保険料 |
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雇用保険料 |
一定割合会社負担 |
■法定福利費(社会保険料)の会計処理
従業員給料から預かった時・・・「預り金」計上
給与 ○○○円 /現金預金 ○○○円
預り金(社会保険料) ○○○円
※預り金勘定を使わずに、法定福利費で計上するケースもあります。
支払い時・・・「預り金」を取崩し、会社負担分を「法定福利費」で計上します。
預り金(従業員負担分)○○○円 / 現金預金 ○○○円
法定福利費(会社負担分)○○○円
※会社負担分の計上方法は、現金主義か発生主義なのかによって異なります。
現金主義の場合・・・支払時に「法定福利費(会社負担分)」を計上
法定福利費 ○○○円 /現金預金 ○○○円
発生主義の場合・・・毎月末「法定福利費(会社負担分)」を未払計上(当月会社負
担分)。支払時に未払を取崩します。
月末→ 法定福利費 ○○○円 / 未払費用 ○○○円
支払い時→ 未払費用 ○○○円 / 現金預金 ○○○円
■会社が国民健康保険料を負担した場合
社会保険への加入は義務となります。会社の状況等により未加入が認められておりません。
ただ、実際には会社として社会保険に加入していない場合もあります。
その場合は、従業員が国民健康保険に加入し、自らが保険料を払うケースが多いかと思います。
では、国民健康保険料を会社が負担した場合にはどうなるでしょうか。
本来、国民健康保険料は従業員自らが支払うものであり、会社が払うものではありません。よって法定福利費として処理することはできず、給与として処理することになります。
■さかのぼって徴収される社会保険料
社会保険事務所の調査が入った場合、悪質とみなされると過去2年間にさかのぼって社会保険料を納付しなくてはなりません(健保法193、厚年法92)。
では、過去2年間分の社会保険料は、いつの事業年度の損金が妥当でしょうか。
社会保険料は、保険料等の額の計算の対象となった月の末日の属する事業年度の損金の額に算入することができる(法基通9-3-2)としています。これだけを読むと、支払義務が発生した各月に損金算入をするため、過年度分については更正の請求が必要であると考えられます。
ただし、実際に債務が確定した日は、社会保険事務所の調査により社会保険料の額が具体的に確定したときであると考えられます。また、法基通9-3-2は「すべき」ではなく、「できる」となっています。
よって、さかのぼって徴収された社会保険料は、過去2年間の該当する各事業年度の損金として処理する必要はなく、社会保険料の額が具体的に確定した日の事業年度に全額を損金算入することができると考えられます。
■社会保険料の延滞金
法人税に係る延滞税等や地方税法に係る延滞金等は、損金不算入となります(法法38)。
しかし、社会保険料の延滞金は上記に該当しないため、損金算入することが認められることとなります。
■役員賞与における社会保険料
役員賞与は、原則、損金算入することはできません。では、役員賞与における会社負担分の社会保険料は損金算入できるでしょうか。
役員賞与であっても、社会保険料は、会社が負担すべきであると法律で定められています。したがって、法律で定められている以上、法定福利費として損金算入することが正しい処理となります。
2018.07.18