減価償却を理解しよう!
2016.12.01
事業などの業務のために用いられる建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、
車両運搬具などの資産を購入した際、取得した時に全額必要経費になるのではなく、
その資産の使用可能期間の全期間にわたり分割して必要経費としていくことです。
これを減価償却といいます。
この使用可能期間に当たるものとして法定耐用年数が財務省令の別表に定められています。
例えば、一般の自動車の耐用年数は6年と決まっています。
自動車は丁寧に使えば10年くらいは持つような気がしますが、
6年間で費用分割しなさいというようになっています。
なぜ、このように耐用年数が決まっているのかというと、
勝手に耐用年数を決めてしまうことが出来ると、自由に節税が出来てしまうからなのです。
《500万円で新車を購入した場合(定率法)》
定率法で計算すると、6年の耐用年数をもつ自動車の減価償却費は、
0.33(償却率) ×新車の購入費用となります。
500万 × 0.33 = 165万円
新車購入1年目は、165万円が減価償却費として計上され、売上利益から差し引かれます。
《4年落ちの中古車を500万円で購入した場合》
中古車の耐用年数を求めます。
法定の自動車の耐用年数(6年)から経過年数(4年)を引いて求めた数値と、
経過年数(4年)に0.2をかけた数値を足して求めた値は2.8年ですが、
1年未満は切り捨てとなるので中古車の耐用年数は2年となります。
(6年-年4) + 4年 × 0.2 = 2.8年 ⇒ 2年(切り捨て)
定率法で計算すると、2年の耐用年数をもつ自動車の減価償却費は、
1.0(償却率) × 中古車の購入費用となり、購入して1年目で500万円全額を
費用化することができることになります。
※期中で購入した場合は月数按分により、費用化できる減価償却費が計算されます。
利益が大きく出そうな年に、自動車を買って費用計上すれば節税が出来てしまいます。
この耐用年数ですが、新品と中古では耐用年数が違います。よく中小企業の経営者が
4年落ちの中古車を買う理由は、この耐用年数が短くなっているため初年度である程度の
費用計上ができ、節税ができるからです。
減価償却には2つの計算方法があります。それが定率法と定額法です。
この定率法と定額法を上手に選択することで、費用計上する額が変わってきます。
減価償却の方法には、毎年同額の償却費となる「定額法」と当初の減価償却費が多く計上され、
年々費用計上額が減少していく「定率法」です。
【少額減価償却資産の特例】
青色申告を行っている個人事業主や中小企業の方には、
少額減価償却資産の特例という制度が用意されています。
これは、取得価額が30万円未満の減価償却資産に関して、一括で減価償却費として
費用計上することが出来るようにするものです。
ちなみに、10万円未満のものに関してはこの制度とは関係なく消耗品費として
計上することが出来ますので、10万円以上30万円未満の減価償却資産について、
一括で費用計上が出来るという制度になります。
ただし、上記の特例を使って年間総額300万円以上の費用を計上させることは出来ません。
減価償却は決算調整項目ですので、正しく理解しておきましょう。
2016.12.01