ダウンロード販売を巡る消費税の課税問題について
2016.01.05
平成27年10月から、日本のエンドユーザーが海外のサーバーからダウンロードする電子書籍・電子新聞・音楽・映像などの電子コンテンツにも日本の消費税がかかるようになったのをご存知でしょうか。逆に、国内の事業者が海外のエンドユーザーなどに提供していた電子コンテンツは課税対象外(不課税取引)となります。平成27年10月からは、電子書籍・音楽・広告の配信などの電気通信回線(インターネット等)を介して行われる役務の提供を「電気通信利用役務の提供」と位置付け、その役務の提供が消費税の課税対象となる国内取引に該当するか否かの判定基準が、「役務の提供を行う者の事務所等の所在地」から「役務の提供を受ける者の住所地等」に見直されたのです。したがいまして、電気通信利用役務の提供について、当該役務の提供を行う者及び当該役務の提供を受ける者に応じた改正前及び改正後の課税関係は、次のとおりとなります。
リバースチャージ方式について
本来消費税というのは、事業者が商品を売ったときに「預かった消費税額」から商品を仕入れたときに「支払った消費税額」を差し引いた金額を納付します。わかりやすくいうと「売った側」が消費税を払わなければなりません。リバースチャージ方式の「リバース」を和訳すると、「反対の」という意味です。つまりリバースチャージ方式とは、「売った側」ではなく「商品を仕入れた側(支払った側)」が消費税を国に納付することです。今までは、日本国内からか外国からかの違いによって、最終的に消費税を支払わなければいけないという違いが生じていました。外国にある国外事業者から日本の法律において定められている消費税を徴収することはかなり大変です。そこで、リバースチャージ方式が採用されました。電気通信回線(インターネット等)を介して行われる役務の提供(サービスの提供)については「事業者向け」の電気通信サービスの提供とそれ以外のものとに区分されることとされました。
出典・・・国税庁 「消費税法改正のお知らせ」
ただし、事業者が「事業者向け」の電気通信サービスの提供を受けた場合であっても次の①又は②該当する課税期間については、当分の間、「事業者向け」の電気通信サービスの提供はなかったものとされますのでリバースチャージ方式による申告を行う必要はありません。
①一般課税で、かつ、課税売上割合が95%以上の課税期間
②簡易課税制度が適用される課税期間
消費者向けの電気通信サービスについて
では、「事業者向け」ではなく、「消費者向け」の電気通信サービスの提供についてはどうでしょうか。先に結論を言うと一般的な事業者の方には、当分の間は、リバースチャージ方式の導入による影響は少ないと思います。外国にある国外事業者から「消費者向け」の電気通信サービスの提供を受けた場合には当分の間、仕入税額控除の適用は認められず制限されてしまいます。ただし、「登録国外事業者」から受けた「消費者向け」の電気通信のサービスの提供については仕入税額控除の適用が認められます。「登録国外事業者」とは、「消費者向け」の電気通信サービスの提供を行う課税事業者である国外事業者で、国税庁長官の登録を受けた事業者をいいます。国外事業者から受けた「消費者向け」の電気通信サービスの提供については「登録国外事業者」から受けたもののみが「支払った消費税額」として「預かった消費税額」から差し引くことができます。
2016.01.05